
子育てをしていると子どものいろいろな問題に遭遇します。「発達の特性」や「コミュニケーション能力」「がまんする力(セルフコントロール)」「しつけ」「社会のルールやマナー」「お友達との関わり」など、気になることや困ることは数限りなくありますね。そこで、今回はママパパ編集部に寄せられた「イヤイヤ期」についての悩みについて、20年以上育児相談に携わっている認定専門公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。
2才頃の子どもの特徴が「イヤイヤ」なのですが、実は1才過ぎから自己主張は始まっています。2才頃にちょうどピークを迎えるので、お子さんは少し早いのかもしれません。「イヤイヤの連発」で子どもの自己主張に初めて気づいて驚くママやパパも多いですよ。
では、どうして1才過ぎのかわいい子どもが、身体を張って「いや」と声高に叫ぶのでしょうか?心理学では「自我の芽生え」などと言われますが、「自分」というものに気づき始めたからなのです。生まれたばかりの頃は、自分とそれ以外の人との区別はまだつきません。その後、こころも身体もしだいに成長して初めて「自分」を認識できるようになります。そして、周囲にそれを高らかに宣言する言葉が「イヤ」なのです。自己主張の記念すべき第一歩と言ってもいいでしょう。こころの底からの「イヤ」には、「私は私」「他の誰でもなく私なんだ」という1才児なりの魂の叫びなのです。あたたかく子どもの成長を見守る余裕があるといいですね。
「イヤイヤ期」は子どもの成長の証でもあるので喜ぶべきものではありますが、日常生活が大変になるのも事実です。ただ子どもの「イヤ」というのは、ママやパパが考えるような否定的な意味ではありません。
「お風呂入ろうか?」と親が言うと必ず「イヤ」と子どもは言います。しかし「じゃママ先に入ろう」と言うと、子どももついてきて一緒にお風呂に入ります。このように、親からの問いかけへの反応として「イヤ」と言っているだけで、「反対」とか「嫌い」などというマイナスの意味だけではないのです。「イヤイヤ期」のことは、心理学では「第一次反抗期」というのですが、「子どもが反抗している」「子どもがわがままを言っている」「親のことを嫌っている」などと間違って解釈してしまうママやパパも少なくありません。また、この時期に「しつけ」と称して、むやみに子どもを叱ったり、子どもの気持ちを抑え込むと、その後の子どもの感情表現や発達に悪影響を与えてしまうので注意しましょう。
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