
今年度もスタートして3ヶ月が過ぎました。子どもはもちろんママやパパの身体やこころにも疲れが出るころですね。「新しいママ友と話して緊張した!」「初めての参観日があり、子どものことが心配でドキドキです」「春から職場復帰して、まだ慣れないので汗をかきながら仕事しています」など「不安」についての悩みや質問が寄せられます。そこで、不安症やうつ病のカウンセリングを専門とする公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。皆さん参考にしてください。

発表会や試験など、子どもがドキドキしたり、緊張するのは当たり前の反応です。しかし、過度に不安や緊張を感じて、自分で対処できない場合や、過剰な不安が継続する場合は注意が必要です。そして、体調が悪くなったり、そこで過ごすことがきつくなったり、欠席などを繰り返していれば不安症の可能性があります。不安により日常生活に影響や支障が出ているようであれば、一度、専門家に相談されることをお勧めします。

子どももおとなも様々な理由で不安になります。「不安がある」からといって、それがイコール病気ではありません。私たちは、「適切な不安」を感じることで、自分自身のこころや身体を守ったり、大きな失敗を避けることができているのです。しかし、不安が強すぎると、それを避けるために現実の生活を制限したり、不安を抑えるために手洗いなどの「ある行為」を繰り返すようになります。さらに悪化すると職場や学校など外に行けなくなったり、不安に振り回されて心身ともに疲れてしまうこともあります。不安の影響が、成人の場合は6ヶ月、子どもの場合は4週間継続していれば早期の対応が必要になります。

ストレスがかかったり、不安になったりすると、「動悸がする」「心拍数があがる」「汗が出る」「息苦しい」「呼吸が浅い」「吐き気」「めまい」などの身体症状が現れることが、心理学での長年の様々な研究により明らかにされています。ただ、「動悸」や「呼吸困難」がある場合は、まず、子どもであればかかりつけの小児科、おとなであれば内科の診察を受けることが必要不可欠です。時には甲状腺機能亢進症、不整脈、貧血などの疾患により不安が生じることもありますので、メンタルの問題と片付けるのではなく医療機関を受診しましょう。そして、身体の問題がなければ、次に心理的な問題として対処することが必要なので専門家に相談してください。

不安症の一つである「分離不安」かもしれません。多くは子どもに生じますが、おとなでも生じることがあります。親密な人間関係を築いているママやパパなど保護者から離れるときに異常な不安を感じるのが分離不安です。親密な人間関係はアタッチメント(愛着)と呼ばれ、愛着を感じている保護者から引き離されることが今生の別れのように感じてしまうのです。したがって、年齢や状況などを十分考慮したとしても、普通では考えられないような強い不安を感じる状態になり、泣き叫んだり、暴れたり、学校から逃げ出したりするのです。
参考
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不登校について(2021年9月・10月号掲載)
夏休みも終わり、園や学校での生活がやっとスムーズに回りだした頃でしょうか?この時期には、登園や登校渋り、不登校についての相談が、ママパパ編集部にも数多く寄せられます。そこで、のべ約400校の小・中学校 ...
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「赤ちゃんQ&A」(WEB版2025年3月・4月号掲載)
待ちに待った春になりましたね。あたたかくなってきたので「赤ちゃんと公園デビューするかな?」「子育て支援センターなどに遊びにいってみようかな?」「家では活発すぎて持て余し気味なのでお出かけしないと!」と ...
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「入学までに親が気を付けるポイント」(WEB版2025年1月・2月号掲載)
入学を前に「私が小学校に入学するようで落ち着きません」「友達やお勉強、給食のことなど、心配が止まりません」などなどいろいろなことが不安になるようです。そこで、今回は、スクールカウンセラーとしての長い経 ...