「ちょっとした音ですぐに起きる」「汗をかくとグズグズ機嫌が悪くなる」「花火の音で泣いてしまう」「好き嫌いが激しい」など、感覚に関する問題で困っているママやパパも多いのではないでしょうか。そこで、公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。
感覚の問題は、子どもや発達障害と関わりが深いですが、私たち大人にも無関係ではありません。感覚過敏に気づかず、いつの間にかストレスフルになったり、逆に、その感覚への依存に陥ってしまうこともあるので注意しましょう。
聴覚の敏感さ
花火や運動会のピストルの音でかんしゃくをおこしてしまったり、他の人には聞こえないような物音で泣いてしまうことがあります。工事現場の騒音を嫌がって外出を拒否することも! 人ごみや電車やバスなどざわざわした騒音は苦手で、掃除機やドライヤー、水洗トイレの音は嫌がります。音感には敏感で、ちょっとの差も聞き逃さなかったり、好きな音や音楽を聴くと落ち着くこともあります。
視覚的敏感さ
特定の光や色によって受ける視覚のストレスが大きいのが特徴です。例えば、強い日差し、蛍光灯のチカチカした光、スーパーなど店舗の強い光、LEDの明るい光やカメラのフラッシュなどが挙げられます。このような環境にいると頭痛やめまいを感じたり、疲れてぐったりすることもあります。また、教えていないのに文字を覚えたり、複雑な漢字に興味を示したり、相手の表情に敏感に反応して不安になる子どもいます。
味覚の敏感さ
味覚過敏は、一般的な「好き嫌い」とは異なり、口の中の感覚が過敏なためにおこります。味覚の敏感さは偏食につながりますが、極端な場合は特定な物しか食べない子どももいます。また、学校で給食が苦痛で、登校できなくなることもあります。食べ物によっては、味覚だけでなく食感に過敏性のある人もいます。ネバネバなど特定の食感や、味噌汁など異なる食感のモノが混ざっている食べ物が苦手なことが多いようです。
嗅覚の敏感さ
嗅覚に過敏性や鈍麻のあるケースがあり、特定の臭いが苦手で、そこに近づくこともできなくなります。例えば、香水や整髪料の臭いを嫌うことが多く、他の人の体臭や口臭にも敏感で、それを我慢できずに教室に入りたがらないこともあります。また、学校や会社などのトイレを使えないなどの行動もみられます。親や先生には言わない子どもも多く、嗅覚過敏が関係した問題は見逃されがちです。
触覚の敏感さ
いつも同じ洋服を着たがったり、暑い日でも必ず長袖を着る傾向があります。シャツのタグがあたる感覚が嫌で取ったり、きついズボンや下着を嫌がってゆったりしたものをはきたがることも。ぬいぐるみの感触が好きでいつも持ち歩いたり、スルスルしたカーテンなど表面が滑らかなものを触ることを好みます。他人に触られることや抱っこを嫌がることもあります。髪を切ることをとても嫌がったり、シャワーが苦手なこともあります。
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