教えて直樹せんせい 育児情報誌ママパパ

発達障害は「脳のタイプ」(2023年3月&4月号掲載)

発達障害については情報が溢れていますが「どう子どもを理解したらいいのか?」「大人ができることがあるのか?」などママパパ編集部へ質問や悩みが寄せられます。そこで、今回は、20年以上、成人から子どもまでの発達障害の心理検査、カウンセリング、トレーニングに携わっている公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。

年長の長女が発達障害だと診断されました。夫とビックリしているのですが、親としてどのように理解したらいいのでしょうか?

 子どもが発達障害だとわかると、どの親御さんも困惑するものです。私たち専門家も、正しくお伝えできるように細心の注意を心掛けるので、毎回とても緊張します。  まず、発達障害は「脳のタイプ」だと理解してください。例えば、利き手が脳のタイプによって「右利き」「左利き」が決まるのと同じように考えてみてはいかかでしょうか?そして、「右利き」「左利き」に優劣がないのと同様に、「発達障害」と「発達障害ではない」ことにも、どちらがいいというわけではないのです。ただ、「脳のタイプ」というだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。ですから、お子さんは、発達障害という「脳のタイプ」であり、それが「良い」とか「悪い」という問題ではないことをわかってください。ただ、集団の中では、小さい子どもであっても「生きづらさ」を抱えていることが多く、その気持ちを理解することが大切です。

娘が発達障害なのですが、同じ診断名の同級生とはかなり様子が違います。また、3年生になった頃から自分の意見を言わなくなり急におとなしくなりました。もともと活発で積極的な子どもなのですが・・・

 発達障害は、一般的な疾患とは異なり、同じ診断名であっても特性の出方や状態が異なることがよくあります。100人いれば100通りの発達障害があり、本当に千差万別です。  では、なぜそのような差が生じるのでしょうか?まず、それぞれの発達障害には、複数の特性あります。そして、知能が偏って発達しているケースが多いので、認知能力のアンバランスと、学習能力のアンバランスが特性に重なっていきます。ここまででも、かなりのバリエーションが生じますが、さらに加わるのが、家庭や学校などの環境要因、背景要因としての家族関係や今までの成育歴です。また、お子さんの年齢や発達段階、環境の変化によっても発達障害の特性が顕著に出現したり、全く気にならなくなることもありますので「気づき」が重要になります。気になるようであれば、発達障害の専門家の心理アセスメントを受けて、今の本人の状態を把握し、今後の対応方法を検討するといいでしょう。

小学校2年生の男の子です。発達障害と診断されて、医療機関には年に数回通院しているのですが療育などは受けていません。親として何かできることがあるのでしょうか?

前の質問でも触れましたが、発達障害は「脳のタイプ」なので、病気のように薬で治療したり、根本から治すことはできません。しかし、その子どもに必要な様々なスキルを身に着けることで、学校や家庭での適応が改善して「生きやすくなる」ことは可能です。  利き手を例にすると、社会の中では「右利き」が多数派なので、「左利き」は箸や鉛筆ぐらいは「右利き」にと矯正されていた時代もありました。しかし、現在は「左利き」への理解が社会に浸透して、無理に「右利き」になおされることはなくなり、「左利き」用のハサミや包丁などもあります。ただ、どこにでも「左利き」用のハサミがあるとは限らないので、「右利き」用のハサミも使えたら実際に便利ですよね!  発達障害も同様に、「発達障害ではない」のがマジョリティな社会で生きるために、いろいろなスキルをマスターすることで便利になったり「生きやすくなる」のではないでしょうか? これは、「発達障害」が悪いとか劣っているということではなく、マイノリティの「発達障害」がマジョリティに合わせないといけないということでもなく、ただ便利で生きやすくするためなのです。身につけるべきスキルとしては、認知能力を発揮するためのスキルやコミュニケーションスキル、感情をコントロールするスキルが代表的なものになります。

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公認心理師・臨床心理士の吉田直樹先生

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