いよいよ、子どもたちには待ち遠しかった夏休みがやってきます。しかし、ママやパパには、入園入学、進級から3~4カ月が過ぎて、友人関係や勉強などいろいろな心配事が出てくる時期でもありますね。そこで、今回は、この時期によくある子どもの問題やその対応方法について臨床心理士の吉田直樹先生に聞いてみました。
毎朝、頭痛や腹痛を訴えるようになっています。特に学校で困っていることはないようなのですが、どうしたらいいでしょうか?
すぐにこころの問題として捉えるのではなく、身体面から確認することが大切です。まず、かかりつけの小児科を受診されるといいでしょう。その結果、医学的な問題がなければ、次にストレスなどこころの問題が疑われるので、専門の医療機関や臨床心理士に相談してください。
先生の言うことが理解できているのか気になっています。子どもの発達が遅れているのかどうか心配なのですが・・・
子どもの発達は「発達心理学」という領域で研究されており、臨床心理士が専門としている分野です。読む、書く、計算するなど特定の事に困難が見られたり、人とのコミュニケーションが苦手だったり、落ち着きがなかったり、感情のブレーキが利きにくいなどの場合には、学校や園で適応するために環境調整やサポートが必要なことがあります。まず、臨床心理士や専門の医療機関に相談しましょう。必要な場合は、知能検査などの発達に関する諸検査を実施し本人の特性や今の状態を理解することが大切です。そして、その結果に応じて適切な対応をおこないましょう。集中力や能力などを向上させるトレーニングや感情をコントロールするためのカウンセリングも有効です。
子どもも大人と同じように、ストレスなどにより頭が痛くなったり、お腹が痛くなったりすることがあるのでしょうか?
人間の身体はストレスを受けると、さまざまなストレス反応を起こします。例えば、緊張すると心臓がドキドキしたり・・・心と身体は互いに深く影響し合っています。このようにストレス(心理社会的な問題)が原因となって、身体に不調が現れる疾患を「心身症」と言います。子どもの心身症も増加しており、代表的なのは腹痛や頭痛ですが、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、自家中毒、過敏性腸症候群(下痢)、チックなども心身症として捉えるのが適切な場合があります。
最近、子どもが、登校をしぶるようになったのですが、このまま様子を見ていてもいいのでしょうか?
不登校は、いくつかの段階を経ながら悪化していきます。登園や登校しぶりが始まる段階は「前兆期」と呼ばれ、すぐに対応することが重要です。まず、園や学校に相談してみましょう。それでも、改善が見られない場合には、臨床心理士やスクールカウンセラーなどのこころの専門家に相談されることをお勧めします。完全に行けなくなってからでは、回復にも時間がかかる場合が多いので、早期に適切な対応が必要なのです。
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