職業柄、周囲の方から「悩みばかりで大変ですね」「悩みを聴くのもきついでしょう」などとお気遣いいただいております。4月から6月は、「新しい環境へ適応できない」「余力がなくてもうパニック!」「ちょっと疲れが出てきたかな?」とお悩み相談が急に増える時期です。そして、職場や家庭、プライベートでお悩み相談を受けてしまったんだけど、相談を受けた人自身が悩んでしまうというのも少なくありませんね。
そこで、今回は、「悩みを聴く」ときのワンポイントアドバイスを紹介します。
まず、「その人の悩みを解決しようとか、私が助けてあげないと・・・」と思い詰めないようにしましょう。「悩みを聴く」というのは、日常生活のコミュニケーションの「聞く」とは質的に異なります。一般の方は、悩みを聴くと非常に疲れたり、共感力の強い人は、その問題に自分が飲み込まれてしまうこともあります。つまり、「悩みを聴く」ということに価値があり、「聴くこと」自体がその人のサポートになっていることを認識することが大切なので。そして、お悩み相談を受けている自分に、サポートしようしている自分に、自信を持ちましょう。
もう一つのポイントが、「自分だけで抱え込まない」ことです。友人であっても家族であっても個人ができることには限界があります。相談相手のためにも自分のためにも、まだ余裕の残っている間に、秘密は保ちながら信頼できる他の人に相談されるのがお勧めです。自分はもちろん、相談相手を客観的な視点でとらえることができるようになったり、自分だけでは思いつかないような解決方法が見つかるかもしれません。
それでも、どうにもならないような場合は、心理の専門家に相談してください。お互いに支え合うというあたたかい気持ちで、お悩み相談というコミュニケーションが広がるといいですね。
●吉田直樹先生のプロフィール●
認定専門公認心理師・臨床心理士。20年間スクールカウンセラーとして従事。医療機関や吉田心理教育相談室にて勤務。ママパパ編集長の夫でもある。日本臨床心理士会代議員。